コンビニでのOTC (市販薬)の販売は、薬剤師にとって朗報か?メリット・デメリットは?

はじめに:政府の閣議決定と制度の概要

政府は2025年2月12日、市販薬をコンビニで販売できるようにする制度を閣議決定しました。

ただし、購入時には薬剤師などからオンラインで説明を受ける必要があり、乱用防止のため若年者への販売制限も設けられます。

薬局がコンビニと提携し、遠隔服薬指導を経てOTC医薬品を販売できるようになるのです。

この新制度は薬剤師にとってどのような影響をもたらすのでしょうか?

20年以上薬剤師として働いてきた私の視点から、メリット・デメリットを整理し、未来を予測してみます。

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この記事を書いた人
みず

・薬剤師歴20年以上のおじさん
・法人経営
・中小薬局で100人以上の薬剤師と面接経験(人事にて採用担当)
・50薬局200人以上の薬剤師と業務経験あり

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消費者にとってのメリット:利便性の向上

まず、消費者にとってはメリットしかないと言えます。

✅ 24時間いつでも購入可能

コンビニは基本的に24時間営業しているため、夜間や早朝に薬が必要な場合でも購入しやすくなります。

これは、急な発熱や頭痛に対処したいときに非常に便利です。

✅ 遠隔で薬剤師の説明を受けられる

コンビニでの販売とはいえ、薬剤師の説明が義務づけられているため、誤った服用のリスクを減らすことができます。

✅ ついで買いの利便性

コンビニでは日用品や食料品も買えるため、「ついでに薬も」という行動が増えるでしょう。

これらの点を考えると、消費者にとってはこの制度は「便利でしかない」と言えます。

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薬剤師にとってのメリット:職能の拡大と収入増加の可能性

SNSなどでは「薬剤師の仕事が奪われるのでは?」と悲観的な意見も見られますが、私はむしろプラスに捉えています。

✅ 医薬品の販売機会が増える

薬剤師が関与する販売チャネルが増えるため、薬剤師の仕事も増える可能性があります。

これによって、結果的に薬剤師の需要は維持されるでしょう。

✅ 新たな働き方の選択肢

夜間に在宅でオンライン服薬指導を行うことで、副業的に収入を増やすことも可能になります。

昼間は薬局で働き、夜は在宅で服薬指導をするという働き方も選べるかもしれません。

✅ 薬剤師の独立の可能性が広がる

これまで薬剤師が独立するには調剤薬局を開業するのが一般的でした。

しかし、OTC販売を中心にした新しい経営スタイルが生まれる可能性もあります。

例えば、薬剤師が自らコンビニを経営し、そこでOTC販売を行うケースも考えられます。

✅ 「街の薬局」の復活の可能性

現在の薬局経営は医療機関の近くで調剤を行う形が主流ですが、調剤報酬の引き下げにより経営は年々厳しくなっています。

コンビニでのOTC販売が広がれば、昔ながらの「街の薬局」が復活するきっかけになるかもしれません。

このように、薬剤師の仕事がなくなるどころか、新しい可能性が広がると私は考えています。

コンビニ業界にとってのメリットと課題

コンビニ業界にとっても、OTC販売は新たなビジネスチャンスです。

✅ 集客力の向上

薬が買えることで、新たな客層の取り込みが期待できます。

特に風邪の流行期や花粉症シーズンには一定の売上が見込めるでしょう。

✅ ドラッグストアとの差別化

コンビニで薬が買えるようになれば、ちょっとした不調の際にわざわざドラッグストアに行かずに済むため、消費者の行動が変わる可能性があります。

しかし、課題もあります。

⚠ 在庫管理の問題

医薬品の管理には一定のルールがあり、コンビニ側にとっては新たな負担が発生します。

⚠ 薬剤師との提携モデルの構築

「薬局が委託する形」とされていますが、具体的にどのような契約形態になるのかは不透明です。

例えば、大手薬局チェーンがコンビニと提携すれば、規模の大きい事業になるでしょうが、個人薬局が関与する余地がどの程度あるかは未知数です。

いずれにせよ、コンビニと薬局の関係が今後どのように進化するのかは注目すべき点です。

今回の制度は薬剤師にとってプラスなのか?

ここまで述べてきたように、今回の制度は薬剤師にとって「新たな可能性を生むものであり、脅威ではない」と考えています。

ただし、OTC販売が増えたところで、医療全体に与える影響はそれほど大きくはないでしょう。

販売額も微々たるもので、薬剤師の働き方が劇的に変わるわけではありません。

しかし、これが薬剤師の新たな収入源になったり、独立の道を広げたりする可能性は十分にあります。

また、この制度が広まるスピードはかなり速いと予想されます。

なぜなら、消費者にとってはメリットしかなく、マスコミも大々的に取り上げることが確実だからです。

まとめ:コンビニでのOTC販売は、薬剤師の未来にとって明るい兆し

✅ 消費者にとってはメリットしかない

✅ 薬剤師にとっては新たな収入機会と独立の可能性

✅ コンビニ業界にとってもビジネスチャンスだが課題もある

結論として、コンビニでのOTC販売は「薬剤師の職能を広げる良い制度」と言えます。

「仕事を奪われる」と悲観するのではなく、「どう活用するか」を前向きに考えることが大切なのではないでしょうか?

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