【調剤薬局】新人薬剤師がまず学ぶべきこと!60代でも大丈夫

仕事

初めて調剤をする薬剤師は、

仕事を覚えられるだろうか?

迷惑を掛けないだろうか?

足を引っ張らないだろうか?

と不安になることでしょう。

しかし、正しい学び方をすれば誰でも問題なく、スムーズに調剤業務をマスターすることが出来ます。

私は、中規模薬局で人事担当をしながら新規採用者の教育も担当していました。

新規採用の薬剤師の中には、

MR出身の50代後半の薬剤師や、OTCしか経験のない60代の薬剤師もいました。

「私に調剤が出来るでしょうか?」と当人達は心配していましたが、私は全く心配しませんでした。

数ヶ月後には、しっかりと調剤業務ができるようになり薬局の戦力となれると確信していました。

なぜなら、調剤を学ぶコツと順番、そして心構えをちゃんと教えれば誰でも出来るようになることを知っているからです。

それほど難しいことではないので、この記事をしっかり読んで参考にしてください。

注意して欲しいのは、これは調剤に関しての内容です。

同じ薬局薬剤師でもOTCの方は、まったく別の勉強となります。

薬の勉強としては調剤もOTCも繋がっていますが、仕事となると覚える内容が異なりますので間違えないようにしてください。

今回の記事は、調剤に関しての内容です。

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この記事を書いた人
みず

・薬剤師歴20年以上のおじさん
・法人経営
・中小薬局で100人以上の薬剤師と面接経験(人事にて採用担当)
・50薬局200人以上の薬剤師と業務経験あり

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とにかく患者さんの健康を守る

薬局で仕事をする上で、1番大事なことは患者さんを守ることです。

調剤は命に関わる仕事であり、薬剤師のミスは許されません。

ミスをすれば逆に患者さんに危害を加えることになります。

ですから、調剤をする上で1番最初に学ぶべきことは患者さんを守ること。

すなわち、重大なミスを起こさない方法を習得することです。

そのためには、2つのことを徹底的にマスターする必要があります。

この2つをマスターすれば、安全に調剤業務を行なうことができます。

2つのこととは、以下のことです。

  • 禁忌を見逃さない
  • 薬の取り間違いをしない

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絶対に禁忌を見逃さない

なによりも大事なことは、禁忌を回避することです。

これだけは、是が非でも死守しなければなりません。

禁忌には、

「薬同士の飲み併せの禁忌」

「疾患や体質によって使ってはいけない禁忌」

があります。

この薬をみたら禁忌がないか?必ず確認する!見逃さない!となる必要があります。

禁忌を絶対に見逃さないスキルが最重要です。

具体的にどのようにしてスキルを研くのか説明します。

とにかく添付文書

禁忌を見逃さないスキルを身につけるためには、添付文書をしっかり確認することです。

服薬指導する薬は、すべて添付文書をみてから投薬します。

そして、添付文書の禁忌の箇所を全部チェックして下さい。

全部です。

調剤の初心者は、剤数が少ない処方せんから扱うと思います。

薬が1つや2つの処方せんを調剤したり、服薬指導するところから始めるでしょう。

今は電子薬歴で添付文書を確認することができます。

いちいち薬品棚から出したり、医薬品集を開かなくともすぐに添付文書を見ることができます。

調剤する前や服薬指導する前に、飲み併せの禁忌や疾患の禁忌を添付文書で必ず確認しましょう。

時間は取られますが、調剤するたびに禁忌を確認することで記憶に定着します。

何回も確認していると「この薬は注意だな」

「これは何も心配ないな」と分かるようになります。

できればお薬手帳の併用薬も添付文書を確認すると、より早く禁忌の知識が蓄積されます。

禁忌を完全に覚えられなくとも、この薬には禁忌がある!必ずチェックが必要だ!

という知識があれば大丈夫。

そのレベルに達するためには、服薬指導するたびに全ての薬の添付文書をみること。

大変そうに思えますが、それぞれの薬局で頻繁に調剤する薬は決まっています。

一日のうちで何回も同じ薬の添付文書を確認することになるので、自然と覚えてしまいます。

完全に覚えたら、その薬は添付文書を見る必要はなくなります。

続けていくうちに、沢山の薬の禁忌を覚えられますよ。

確認する薬の数が徐々に減っていきますので、続けていると楽になっていきます。

基本は添付文書です。

まずは禁忌の項目を確実に確認していきましょう!

先輩に教えてもらう

自分で添付文書を確認することは基本です。

しかし、薬局の先輩に教えてもらうことは効率的です。

薬局でよく出る薬で、禁忌で注意するのものは何ですか?と初めに聞いておきます。

例えば、「うちの薬局はクラリスロマイシンがよく出るから併用禁忌は沢山あるので注意」

などと教えてくれるでしょう。

それが分かれば、クラリスロマイシンの禁忌をさっさと覚えてしまう。

または、よく疑義照会する禁忌は何ですか?と最初に確認します。

薬局によって、調剤する薬には偏りがありますのでこれも聞いておくと良いですね。

その禁忌について、まずは確実に覚える。

薬局でよく出る薬で、禁忌があるものから集中的に覚えることは効率的です。

お薬手帳を確認する

お薬手帳で併用禁忌薬がないか確認しますが、もう一つ確認すべきことがあります。

お薬手帳には、副作用歴やアレルギー歴を書く欄があります。

ここを、しっかりと確認しましょう。

本人や薬剤師が過去の記録を書いています。

見逃さないように注意します。

レセコンのエラーチェック機能を活用する

レセコンには禁忌があると、エラーとして表示される機能があります。

これを活用することは大切です。

禁忌を見逃していないか?コンピュータの力を借ります。

薬剤師の目と機械の目を使って、確実に禁忌のチェックをしましょう。

そのためにも、必ずエラー表示を確認すること。

そして最新の併用薬を入力しておくことは必須です。

薬の取り間違いをしない

安全な調剤を行なうためには、処方せん通りに調剤することです。

しかし、薬の取り間違いは非常に頻度の高いミスです。

処方せん通りに調剤するというのは、実は思っている以上に大変です。

そのため、薬剤師は調剤ミスを防ぐために様々な工夫をしてきました。

ダブルチェックや機器を使用した調剤など、日進月歩で進化しています。

ここでは、すぐに効果の上がる調剤ミスを防ぐ方法をお話します。

処方せんを見てから薬を見る

調剤に慣れてくると、薬のチェックをする時に「処方せんの確認→薬の確認」ではなく

「薬の確認→処方せんの確認」の順番でチェックする薬剤師がいます。

早く薬のチェックをしたいと気持ちが焦ると、この順番になりやすいのですが。

これは絶対にNGです!

NHKのアナウンサーばりに真剣に厳しく言います。

必ず処方せんを確認してから、実物の薬を確認すること。

薬を手に取って薬を見てから処方せんを見ると、錯覚して間違える可能性が高くなる。

これは経験上明らかです。

慣れてくると、薬の見た目を覚えます。

正しい監査の方法は、処方せんを見て頭にイメージした薬と実物が正しいかを確認します。(無意識にイメージできるようになります)

これが逆になると、実物を見てから処方せんの確認となり、頭の中で薬をイメージできません。

ここで錯覚が起きてしまいます。

手に取った薬が、処方せんに記載された薬品名と同じであると脳が勘違いしてしまうのです。

なぜかは解りませんが、私の経験上これは確かです。

何度でも言いますが、必ず処方せんの薬品名を見てから、薬を見てください。

処方せんに書かれた薬品名を見る→脳がその薬をイメージする→実物を確認する

この順番です。

そうすることで、取り間違えのミスに気付きやすくなります。

焦らない急がない

スピーディーにテキパキと動くことは大切です。

しかし、焦ってはいけません。

今まで話した禁忌のチェックも、調剤のチェックも慌てて行えばミスを起こしやすくなる。

ある程度のスピードは必要でも、ミスを起こせば本末転倒です。

そのミスを取り返すために倍以上の時間がかかることが、ほとんどです。

例えば一包化でちゃんと確認せずに分包機のスタートを押す。

間違いに後から気がついたら、再度作り直すのに相当な時間がかかります。

スタートボタンを押す前に、最終チェックを丁寧にする手間を省いてはいけません。

1分くらいは時間が掛かるかもしれないけど、ミスして作り直すことになったら何分時間をロスすることか!

いくら混んでいても、慌てなくて大丈夫。

絶対にミスしないように、落ち着いて丁寧に調剤しましょう。

たかだか1、2分遅くなっても調剤は問題ありません。

ミスをしないことが絶対です。

1、2分早く薬を受け取っても患者さんは喜びません。

しかし1、2分しっかり確認することを怠り、調剤過誤を起こしたら、患者さんは多大な被害を被ります。

絶対に慌てないこと。

薬局内がバタバタと慌ただしくても、巻き込まれてはいけません。

一つ一つ確実にこなしていき、焦りからミスをしないようにしましょう。

ちなみに、患者さんは昔に比べてだいぶ待てるようになっている印象です。

中には急いでいる人もいますが、私達が扱うのは薬です。

間違えれば命に関わります。

例え混んでいても、急いでいる患者さんが居ても自分のペースは崩さないこと。

何度も言いますが、調剤過誤をしたら言い訳はできません。

調剤過誤と患者さんを待たせることと、どちらの方が問題かは明らかです。

慌てず焦らずに調剤をしましょう。

薬が変わった時は、注意に注意を重ねる

処方変更すなわち、薬が前回と変わった時は注意が必要です。

まずは基本中の基本。

添付文書の確認です。

禁忌チェックはもちろんですが、さらに注意して欲しいのが用法用量です。

新しい薬が追加になった時に意外と多いのが、用法用量の間違い。

食前服用が食後になっていたり、年齢や体重に合わない用量だったり。

1日で全国の薬剤師は相当数の疑義照会をしています。

それだけ間違いが多いのが、新たな薬の用法用量です。

処方が変更になった時は、何か間違いがあると疑って徹底的に確認しましょう。

同種同効薬の重複チェック

禁忌チェックを確実にするのは当たり前ですね。

さらに、もう一つ確認すべきことがあります。

それは同種同効薬のチェックです。

これはある程度の知識が必要で、添付文書の確認だけでは解決しません。

例えば、糖尿病薬でDPP-4阻害薬という内服薬があります。

一方、同じく糖尿病薬でGLP1受容体作動薬という注射薬があります。

内服薬と注射薬の違いがあり、さらに分類も違いますが、この2つの薬は一緒に使ってはいけません。

この2つが処方になっている場合ほ、必ず疑義照会するケースです。

(こ処方間違いは、時々見かけます)

逆に同種同効薬でも、一緒に使うケースもあります。

同じように糖尿病薬でもDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬などは一緒に使っても問題ありません。

同種同効薬の併用については、ある程度の知識と経験は不可欠です。

先輩に教わったり、多くの処方せんを見て学び、習得していきましょう。

まとめ

調剤初心者の薬剤師が、なるべく早く1人立ちするために必要なことをお話しました。

1番大事なのは、次の2つ

  • 禁忌を見逃さない
  • 薬の取り間違いをしない

まずはこの2つをキッチリ出来るようになること。

ここをマスターすれば、ある程度は問題なく調剤ができます。

もちろん分包機や電子薬歴の使い方を覚えたり、その薬局で必要なことはあるでしょう。

それは、サッサと覚えれば良いことです。

また在宅や処方提案など、より高度な薬剤師業務もありますが、それは追々経験を積んでスキルアップしていきましょう。

とにかく調剤するにあたって最初にマスターすべきことは、今回お話した内容です。

早く身に付けて、患者さんに安全に薬剤師として貢献できるようになりましょう。

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